セカンドキャリアは「目的×方法×スタート時期×条件」で探そう

                    

「定年退職後も働きたいけれども、どのように働きたいか具体的に思い浮かばない」とお悩みではありませんか?
働き方を考えるには、まず自身のセカンドキャリア(第二の人生における職業)について検討してみることをおすすめします。
具体的にセカンドキャリアの目的や働き方を検討することで、自分の将来働く姿を具体的に思い描けるようになります。
この記事では、自分に合った働き方を選ぶ手順について解説していきます。

【目的】セカンドキャリアに求めるものを明確にしよう

人生100年時代とも呼ばれる現代では、60歳で定年退職してもさらに何十年もの余生があります。そのため第二の人生でも働きたいと考え、セカンドキャリアを真剣に検討する人が増えています。

しかし、セカンドキャリアを具体的に決められないまま時間ばかりが過ぎていくと「このままでいいのか」と不安になりますので、この不安を解消する方法の一つとして、自分に合った働き方を具体的に検討してみてはいかがでしょうか。

自分に合った働き方は「目的」「方法」「スタート時期」「条件」と、さまざまな要素が関係していますが、まず「自分はなぜ働きたいのか」という「目的」を起点に考えていきましょう。

第二の人生でも働く目的とその優先順位を明確化することで、「方法」「スタート時期」「条件」もある程度見えてきます。何のために働きたいのか、ご自身の目的を列挙してみましょう。

  • 家計のため?
  • 健康の維持?
  • 能力を活かしたい?
  • 社会貢献?
  • 生きがい?

例に挙げた以外にも、さまざまな目的があるはずです。とにかく思いつく限り目的を列挙したら、次に、優先順位の高いものから並び替えます。目的の優先順位を付けておくことで、複数の働き方で迷った場合に、どの働き方にすればよいかの判断材料となります。

例えば、何よりも家計を優先するから時給のいい時間帯に働きたい、という選択もあるでしょう。健康の維持目的なら、時給の高さよりも、労働時間がきっちり決まった仕事や、短時間勤務で生活のリズムが整えばいい、という割り切りもできます。

働く目的をうまく書き出せなかった場合は、自分がどういうことに生きがいや喜びを感じるのかについて、性格傾向を診断するツールを活用してみましょう。自分の性格傾向を把握できる性格分類学のひとつに「エニアグラム(※1)」があります。インターネット上でも無料で診断できるサイトがあるので試してみてください。

エニアグラムで診断すると、自分は挑戦することが好きなのか、人に奉仕することが好きなのか、という性格傾向が分かります。エニアグラムで出た自分の性格傾向を考慮すると、働く目的を設定しやすいかもしれません。

【方法】目的と自身の能力に合わせて選ぼう

働く目的がはっきりしたら、次に働く方法について考えてみましょう。働く目的と方法を検討することで、働き方が明確になってきます。
働く方法には主に以下の3パターンがあります。

  • 得意なことに特化した働き方
  • 今と同じ働き方
  • 自分の目標に不足しているスキルを補うことで実現する理想の働き方

また、働く方法の形態もさまざまです。

  • 再雇用
  • 転職
  • 独立
  • 起業
  • ボランティア
  • 複業

働く目的に合わせて、これらの方法のいずれを選択するか考えてみてください。例えば、定年後も生活資金が心配なので働きたい、という場合、働く目的の優先順位として一番高いのは賃金です。この場合は、会社の再雇用制度で残った場合の年収と、転職や独立起業しての年収、といったように賃金面で、より多くの収入が得られる方法を選びます。

金銭的な問題よりもやりがいや生きがいを重視したい場合は、これまで培った経験を別の方面で使って、人に役立つ仕事を選ぶか、ボランティアを選択する、という考え方もあります。

ここまでで、セカンドキャリアの目的と具体的な方法は明確になります。ただし、自分の健康状態や体力は、年を経るにつれ落ちていくことを考慮し、無理のない働き方を選択すること。独立企業や転職にはリスクもあるので、リスクを取ってまですべきかどうか検討すること。など、デメリットについても検討したうえで決定しましょう。

【スタート時期×条件】いつどのような条件で始めるかも自分で決めよう

第二の人生のスタートは、何も定年とは限りません。今後の人生設計を検討した結果、スタート時期を変えた方がいい場合もあります。スタートのタイミングと条件のかけ合わせ例を列挙してみましょう。

  • 定年前×早期退職
  • 定年前×在職中から副業で開始、定年後に本業
  • 定年後×再雇用
  • 定年後×ボランティア

今後のキャリアを検討する際、少しでも早く動くべきだという結論に達するなら、早期退職を選択して次のキャリアに備えて勉強するというのもひとつの方法です。また、働く条件も、これまでのようなフルタイムでの会社勤めにこだわらず、週2~3日だけの勤務や在宅勤務などさまざまな選択肢があります。自分の体力とも相談して検討してみてください。

在職中でこれから第二の人生の働き方を検討する方は、準備をする余裕があります。会社を辞めてしまう前に、起業の可能性を検討したり、副業を試して自分の市場価値を確認して、確信を得るべく色々試しましょう。

失敗例と成功例に見る「自分に合う働き方」の見極め方

最後に、筆者の失敗談と知人の成功例を紹介して、「目的×方法×スタート時期×条件」でしっかり考える有用性を説明したいと思います。

筆者はIT技術者として働き、20年以上勤めていた会社を早期退職しました。早期退職者募集の際、飲食店を開業したいという思いを抱いていましたが、働く目的をあまり追求しないまま退職後に飲食店開業の勉強を始めました。

しかし同じ創業希望の人たちと勉強をする中で、自分は飲食店をやっていけないという考えに至りました。筆者の敗因は、セカンドキャリアの「目的」「方法」「スタート時期」をきちんと明確にしてから行動しなかったことにあります。

そもそも会社員時代から残業が多く時間や場所に縛られて働くことに嫌気がさしていたのに、飲食店はさらに大変だということ、接客業には向かない自分の性質などにようやく気付きました。その結果、筆者は最終的に飲食店の開業を断念しました。

改めてじっくりと働く目的と働き方を検討してみたところ、自分にはやはりお金が必要であり、時間や場所に囚われない働き方を望んでいるという考えに至りました。

今は退職前に希望していた働く目的や方法の条件を満たすフリーランスという働き方に出会い、満足しています。退職前にもっと働く目的と方法について真摯に向き合っていれば、このような回り道はせずに済んだでしょう。

一方、同じように早期退職からラーメン店を開業して、わずか数年で超人気店にした知人の成功例もご紹介します。

知人は仕事を辞める前、「勝てるラーメン店作り」の経営戦略を緻密に計画し、退社後すぐに県内一番の人気店に弟子入りしました。そして3年後にラーメン店を開業して、有名飲食店評価サイトでも県内10位以内になるような評価の高い店舗経営に成功しました。

この知人は「一国一城の主になる」という働く目的をはっきり持っていて、「働く方法」のビジョンも明確でした。最初は夫婦二人で少しずつ常連を増やし、アルバイトなども計画的に雇用して後継を育てる、と開業前から話していたことが印象に残っています。

働き方の目的や、その目的を実現する方法をどれだけ明確にイメージできているかで、セカンドキャリアの成功確率は大きく変わります。自分と向き合うことはなかなか大変ですが、一度しっかりと時間を取って、セカンドキャリアについて検討してみてくださいね。

※1
日本エニアグラム学会「90問回答式チェック

この記事はいかがでしたか?
ページ
上部へ

「わさび」ではSNSによる情報配信も行っています

フォローで便利に最新情報チェックができます