シニア世代のセカンドキャリアとは? 自分に合った働き方を検討しよう

                    

人生100年時代と言われる昨今、65歳で定年することを考えると残りの人生は35年。平均寿命が長くなったことを喜ぶ以上に、老後の生活に不安を感じている人も多いでしょう。定年後の三大不安と言われている「お金」「健康」「孤独」は、定年後も働き続けるという選択、つまりセカンドキャリアを見つけることが大きな解決策となる場合もあります。
セカンドキャリアの考え方やポイントなどについて見ていきましょう。

人生100年時代、多くの人が考えるセカンドキャリアとは?

一般的なシニア世代にとって「セカンドキャリア」とは、主に定年後のキャリアのことを指します。

ひと昔前であれば定年退職後は「趣味や旅行で余生をのんびり」という考え方も多く見受けられましたが、最近では定年後も仕事やボランティアなどやり甲斐を持った生活を続けたい、と考える人が増えてきています。事実、内閣府の調査(※1)によると「仕事は65歳くらいまで」と考えているシニアはわずか13.5%に過ぎず、42%のシニアが「働けるまでずっと働きたい」と考えています。

少子高齢化の影響による人手不足の影響で65歳定年制が定着してきたことや、定年年齢の廃止・再雇用制度の実施企業が増加するなどシニア層が活躍できる場は広がっており、年々シニアの就業率は上昇傾向にあります。内閣府による同調査によると、2010年には9.1%だった65才以上の就業率は2016年には11.9%まで上昇しています。

老いは誰にとっても訪れるもの。どのような人生を送りたいか価値観は人それぞれですが、自分らしい人生を生涯送るために、セカンドキャリアも選択肢のひとつとして考えてはいかがでしょうか。

セカンドキャリアにある5つの選択肢

セカンドキャリアの選択肢は、主に次の5項目です。それぞれメリット・デメリットがあったり、これまでのキャリアや人柄によっては向き・不向きなどがあります。それぞれの選択肢について詳しく見ていきましょう。

・【選択肢1】定年後再雇用制度により同じ会社で働く
セカンドキャリアとして最も多いのが、再雇用制度により同じ会社で勤務を続けるという選択肢です。この選択肢は改めて仕事を探す必要がないので、手間がかかりません。ただし雇用形態は契約や嘱託などに切り替わり、ほとんどの場合、定年後の給料は下がります。
実際に明治安田生活福祉研究所の「2018年 50代・60代の働き方に関する意識と実態」(※2)によると、約40%の再雇用制度利用者が定年前の年収と比較して50%減少したと回答しています。

・【選択肢2】別の会社に転職する
比較的考えやすいセカンドキャリアのひとつで、人によってはこれまでの会社よりも良い条件で働ける可能性がある一方、転職活動や新たに人間関係を築く必要もあります。また定年前のキャリアをベースにそれなりの条件・仕事内容となると狭き門になってしまいますので、異業種・異職種も含め、幅広く検討してみましょう。

・【選択肢3】事業を興す、経営者になる
小規模事業であれば、実はシニア世代にリスクが少ない「事業を興す」「経営者になる」という選択。例えば50万円の仕事を獲得しようとすると大変ですが、5万円の小規模な仕事を10回受注するような事業は、意外と周りにあるものです。また光熱費や飲食費などを経費とすることができるというメリットもあります。
ただし無理をしてがむしゃらに働くのではなく、体に無理のない範囲で行える事業を選びましょう。

・【選択肢4】複数の職を掛け持ちする
現代は定年前でも副業が推奨される時代です。週に2日ずつ複数の企業で働いたり選択肢2と3を掛け持ちするなど、並行して複数の職で働くという選択肢もあります。この選択肢は定年後の交友関係も広がるというメリットがあります。
そのほかにもインターネット上で完結するため、職を掛け持ちしやすい「クラウドソーシング」や「個人のスキルを活かすことができるサービス」などを利用する働き方もあります。ただし、これらは受注型の仕事であるため、登録して待っていても仕事が来るわけではありません。自分の得意なことなどをPRしたり、募集のあるプロジェクトを探したりと積極的に行動しましょう。

・【選択肢5】ボランティアを行う
JICA(ジャイカ:独立行政法人国際協力機構)や自治体など、公式に募集されているシニアボランティアから地域の見守りまで、規模の大小問わずさまざまなボランティアがあります。セカンドキャリアを検討するメインの理由が老後の資金ではない場合、有力な選択肢となるでしょう。

納得のいくセカンドキャリアの見つけ方とタイミング

このようにセカンドキャリアには主に5つの選択肢がありますが、セカンドキャリア自体をどうしたら良いか分からない、または悩んでいるという方もいるのではないでしょうか。その場合は、下記のように3つのステップで考えてみましょう。

【STEP1】セカンドキャリアの「目的」を明確にする
まず第1ステップはセカンドキャリアの「目的」をはっきりさせることです。セカンドキャリアの目的が「生活費のため」なのか、もしくは「社会とのつながりを維持する」「生きがいを見つける」ことなのかなど、目的を明確にすることで自ずと向かうべきセカンドキャリアの方向性が分かり、定年後のビジョンが見えてきます。

【STEP2】キャリアの棚卸し
第2ステップは「キャリアの棚卸し」です。「自分の経験やスキル、プライベートでできることや得意なことなど」を改めて考えてみます。そのときに重要なのが、過去の役職や成功体験にとらわれないということ。「元大手企業の役職を務めた」「現役時代と同等の給与」などと考えてしまうと選択肢が少なくなり、セカンドキャリアの可能性も狭まってしまいます。

【STEP3】STEP1・2を元に働き方の目処をつける
第3ステップはセカンドキャリアの目的とキャリアの棚卸しをもとに、先ほど取り上げた5つの選択肢の中から希望する働き方の目処をつけていきます。その中に再雇用や転職が含まれる場合は、保険・雇用形態・制度などについてもきちんと把握をしておきましょう。

セカンドキャリアは早めに検討することで十分な準備期間が確保できますが、検討が早すぎると定年前の生活にも影響が出てきてしまう可能性もあります。

現在の本業に支障が無いよう、「何のためのセカンドキャリアか?」ということを踏まえ、調査や準備を進めていきましょう。

目的をしっかり見据えたセカンドキャリアを検討しよう

人生100年時代、定年後も生活はまだまだ続きます。自分らしい人生を全うするためにもセカンドキャリアは大切ですが、これまでどんなキャリアを送ってきたのか、またどんな人生を送りたいかによって、適するセカンドキャリアは異なります。

シニアが活躍できるセカンドキャリアの可能性はどんどん広がっています。現在の職務を全うし、セカンドキャリア探しが目的になったりすることのないように注意しながら、自分らしく生きるセカンドキャリアを見つけていきましょう。

【引用元】
※1
内閣府
平成29年版高齢社会白書(全体版) 」内「4 高齢者の就業 第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向(4)」
※2
明治安田総合研究所
明治安田生活福祉研究所 50 代・60 代の働き方に関する意識と実態

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