キャリアの棚卸しで、退職後の働き方を考えよう

                    

これまで積み上げてきた自身のスキルや経歴を振り返る「キャリアの棚卸し」は、早期・定年退職後のキャリアプランを考える際の、はじめの一歩と言えます。
本記事では、キャリアの棚卸しを行う意味とその方法について解説します。今後の働き方について不安のある方は、ぜひキャリアの棚卸しから始めてみましょう。

今後のキャリア形成を考えるにはキャリアの棚卸しが有効

第二の人生においてどう働くのかを考える際、イメージが具体的に思い浮かばず困ることもあるのではないでしょうか。そのようなときは、まず今の自分は何ができるか、自身の能力を具体的に把握することから始めましょう。

これまで積み上げてきた業務経験から、さまざまなスキルは身についているはずです。しかし、自分で自覚するには、何らかの尺度を用いて客観的にセルフチェックしないと分かりづらいかもしれません。

人が仕事などを通して身に付けているスキルは、ヒューマンスキル・テクニカルスキル・コンセプチュアルスキル(進捗管理や問題解決能力)(※1)の3種類に分類されます。

ヒューマンスキル人との会話やストレスに対する耐性などの対人スキル
テクニカルスキル今までの仕事で身に付けた専門技術(職種や業務内容で大きく異なる)
コンセプチュアルスキル進捗管理や問題解決能力

ヒューマンスキルは、折衝や接客、営業などの職種で活用できるスキルです。テクニカルスキルは、ある業種や職種で積み上げてきた経験であり、同じ業種・職種で第二のキャリア形成を考えている場合に活用できます。コンセプチュアルスキルは「仕事が早い」「問題解決能力が高い」など、自覚しづらい仕事面での強みで、面接での自己アピールに使えます。

コツコツ着実に積み上げる、問題点を素早く見抜いてうまく調整するなど、自身の得意な仕事の進め方や問題解決の方法を思い出してみてください。先ほどの3種類に分類される仕事上の業務スキルも、複数出てくるでしょう。

キャリアの棚卸しは自分の強み探しでもあります。キャリアを見つめ直すことは、自分への自信にも繋がりますので、ぜひ取り組んでみましょう。

キャリアの棚卸しとキャリアプランからギャップを把握して埋める

自分のキャリアの棚卸しを行うことは、今後のキャリアを考える上での第一歩です。また、棚卸しとともに、今後のキャリアプランを明確にすることも同じぐらい大切です。棚卸し結果と今後のキャリアプランを比較して、そのギャップを把握して埋める努力をすることで、自分の思い描く第二のキャリアが成功する確率が高まります。

例えば、早期退職後にまったく経験のないカフェの経営を考えているとしましょう。現在の仕事は営業職で対人スキルは高く、趣味で作っていたプリンや焼き菓子が周囲から好評だったので、スイーツカフェを目指すとします。

この場合、対人スキルと調理のスキルは、今度のキャリアに役立つスキルです。しかし店舗経営の知識や経理面のスキル、ホールでの接客スキルなどが、今の自分に足りないギャップとして見えてきます。

ギャップが見えてきたら、後はどう埋めるかの具体案を考えて実践することが大切です。上記の例なら、会社経営の基礎を学びつつ、カフェでアルバイトをする、カフェ開業のビジネススクールに通うなどの手段で第二のキャリア実現に向けた行動が起こせます。

このように、次のキャリアを形成するためには、キャリアの棚卸しと次のキャリアプランの具体化が必要です。しかし、残念ながらキャリアの棚卸しが十分にできていな人は多い傾向にあります。

エン・ジャパン株式会社の調査によると、転職の採用コンサルタントの62%は「キャリアの棚卸しが十分にできていない人が多い」と回答しています。(※2

また、同じ調査では、キャリアの棚卸しが不十分な方が取り組めていないこととして「今後のキャリアにおける目標や理想像」を挙げた採用コンサルタントも64%に上りました。自身の棚卸しができていない人は、今後のキャリアも思い描きにくい傾向があると言えます。

まずは、キャリアの棚卸しを行い、今後のキャリアプランとのギャップを知ることで、第二のキャリアを踏み出す準備を整えましょう。

次に具体的なキャリアの棚卸し方法について説明しますので、ぜひ実践してみてください。

キャリアの棚卸しとキャリアプランの具体的な検討方法

キャリアの棚卸しで、具体的に何を確認していくかを順番に見ていきましょう。

1. 自分のこれまでの資格や経験を書き出す
まずは、これまで取得してきた資格や経験を思い出すままに書き出してみましょう。仕事上の経験だけでなく、趣味や家庭での経験もすべてを思い出してください。趣味や家庭での経験の場合は、さらに一歩踏み込んでその経験で「何を学んだか」も書き出します。

【仕事上の経験の例】
20代Java言語でプログラミング、OracleなどDBMSの知識を得る、基本的な進捗管理とチーム内折衝
30代(係長時代)チームの進捗管理、顧客との折衝、チーム運営(人材のアサイン)
40代(課長時代)予算管理、会社の経営戦略に合わせた所属グループの戦略策定
50代(部長時代)会社内外のキーマンとの人脈形成、大規模のグループマネジメント
資格基本情報技術者、データベースエンジニア、プロジェクトマネージャー
【趣味や家庭での経験を列挙する場合の例】
ラーメン食べ歩き調査した情報を整理する力、フットワークの軽さ
読書よく読んでいる分野は歴史関連、特に城関連の情報に詳しく観光案内もできるレベル
共働きで料理はある程度得意調理家電や調理ツールに詳しくなった

資格は比較的分かりやすいですが、経験については業務経験で何を学んだか、過去を振り返って思い出す必要があります。20代の時、30代の時、と期間を区切りながら書き出してください。

2. 自分の性格や特性を自己分析のうえ言語化していく
次に、自分の性格や特性について、自己分析して言語化していきます。自己分析は、自分自身では難しいこともありますので、大手求人サイトの自己分析方法などを利用してみてください。また、自己分析に関する書籍なども多数あるので探してみましょう。

インターネットで「自己分析方法」や「キャリア 棚卸し」などの単語で検索すると、さまざまなサイトが検索できます。Amazonなどで書籍を検索するのもひとつの方法です。これらの方法で得た自己分析方法を利用することで、これまで見えていなかった自分の一面が分かります。

3. 第二の人生のおけるキャリアプランを深く掘り下げる
キャリアの棚卸しが完了したら、これまで積み上げてきた経験や得意分野を眺めつつ、第二の人生におけるキャリアプランを深く掘り下げていきましょう。

例えば、ラーメンの味にこだわってきた人の場合を考えます。自身でラーメン店を開業するか、食品業界や飲食業界の会社に再就職するか、ラーメン食べ歩き評価のウェブサイトを立ち上げてサイト運営で収益を得るかなど、複数のキャリアを考えてどれがより実現しやすいかを考えるのもひとつの方法です。

会社で部下のフォローをすることが多く「面倒見が良い」という特性が見いだせる人の場合は、面倒見の良さを活かせる福祉関係や教育関係でのキャリア形成を検討するのも良いでしょう。

自分1人だと「できて当然」と思っていて見過ごしがちなスキルも、実は立派なキャリアだということも少なくありません。自己分析が終わった後、キャリアカウンセラーに相談するなど、第三者の視点を入れるとスムーズにいくこともあります。

最終的に、自分の経験や性格・特性と、第二の人生で目指すキャリアにどれだけのギャップがあるかどうかが自覚できれば、今後のキャリアを形成していく第一歩は踏み出せたことになります。自分に足りないスキルや経験を補うため、具体的な戦略を立てて行動していきましょう。

今後のキャリアプラン形成の第一歩として棚卸しの実施を

キャリアの棚卸しは、「今の自分は何ができるか?」をこれまでの経験から明確化する上で重要です。キャリアの棚卸しによって、自分の積み上げてきたキャリア(現実)と今後のキャリアプラン(理想)」のギャップが明確になります。このギャップをどう埋めるかを考えることで、理想のキャリアが形成できます。

これまで積んできた経験を有効活用しつつ、自分にとって喜びを感じられる第二の人生を目指してください。

【引用元】
※1
DUDA
<棚卸し>あなたのキャリアの強みを引き出す5つの質問
※2
エン・ジャパン株式会社
『効果的なキャリア棚卸し術』

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