定年や子どもの独立後、自由な時間ができたとき、働いたり、趣味を楽しんだり、旅行をしたりするという選択肢もありますが、同じようにもう一度学校で学び直すという選択肢もあります。
この記事では、老後に大学進学したいと思ったときに役立つ、進学におすすめの大学の概要と講座内容などをまとめました。
大学に通うメリットと高等教育を学ぶための選択肢
高等教育とは、大学、高等専門学校、専門学校などで行われている教育で、学修の成果として学位などの学術称号や終了証明書が授与される課程のことをいいます。 自主学習やカルチャースクールと比較して、大学進学には下記4つのメリットがあります。
- 学士や修士などの学位が得られる
- 国家資格の取得が可能、あるいは国家試験の受験資格が得られる
- 大学で一緒に学ぶ若者から同年代までの学生と関わりができ、人間関係が広がる(※1)
- 就職や進学といった進路の心配がなく純粋に学びを楽しむことができる
「大学で学ぶには受験して入学しなければならない」と考え、敷居の高さを感じる方もいるかもしれませんが、受験せず高等教育を受ける方法もあります。定年後に高等教育を受けるための選択肢と、それぞれの費用・メリット・デメリットについてまとめました。
学び方 | 特徴 |
---|---|
大学の公開講座で学ぶ |
【費用】 ・1回ごとに受講料を支払う:無料~15,000円程度まで幅広い(※2) 【メリット】 ・気軽に興味のある口座を受けられる ・受験の必要がない ・専門的な内容を学べる 【デメリット】 ・継続してじっくりひとつの専門分野を深堀するのには向かない ・大学卒業の資格や国家試験の受験資格などは得られない(※3) |
放送大学で学ぶ |
【費用】 ・学位を取得する場合、卒業までに必要な費用は約70万円(※4) ・単一科目だけの受講も可能 【メリット】 ・受験の必要がない ・学士、修士、博士の学位が得られる ・一般の大学と同じく学生証が発行されて、学割が利用できる ・教員、看護師、臨床心理士、公認心理師などの資格が得られる ・自宅で自分のペースで学べ、面接授業もある ・4年間で卒業する場合は、1年あたり176,500円と一般的な大学の学費に比べると割安 【デメリット】 ・自分1人で学ぶのが苦手な人には向かない ・通学するわけではないため人間関係を構築しづらい |
高齢者専門の大学校で学ぶ |
【費用】 以下のように大学校ごとにかなり差がある ・受講料無料でテキスト代など実費のみ(※5) ・1科目で年間5,000~7,000円(※6) ・ 登録料100,000円で受講料300,000円(※7) 【メリット】 ・同世代と交流できる ・地域の歴史から趣味など幅広く好きな科目を選択できる ・1年単位で科目が選べる ・ほとんどの大学校で受験は不要 【デメリット】 ・学位は得られない ・高等教育というより趣味の講座に偏っている大学校もある ・学ぶ科目数によっては負担が大きくなることもある |
受験して一般の大学で学ぶ |
【費用】 ・大学ごとに差があるが年間で50~100万円程度(※8) 【メリット】 ・学位が得られる ・4年間通学する中で、若い世代や同世代との交流が可能 【デメリット】 ・シニア優遇や社会人入試の制度がない大学は受験が大変 ・授業料が高い ・自分の学びたい大学が近くにあるとは限らない |
すぐにスタートできる「大学の公開講座」と「放送大学」
各大学で開催されている公開講座は、入学することなく受講できる点が魅力です。放送大学は4月と10月の年に2回の入学のタイミングがあります。どちらも受験の必要はなく、申し込むだけで高等教育を受けられます。
大学の公開講座で受講できる授業の種類は、文系から理系まで、あらゆる科目があります。大学の公開講座を一括して検索できるサイト「セカンドアカデミー(※9)」より、ほんの一部ですが、大学と公開講座名を紹介します。
首都圏の大学が行っている公開講座の一例 | |
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早稲田大学(早稲田大学エクステンションセンター) | 「ポジティブ心理学&コミュニケーション」 「命を守る防災の基礎知識」 「京都 『建仁寺』『高山寺』で学ぶ茶の湯の歴史 禅・茶・心をかたちに」 |
東京理科大学(東京理科大学オープンカレッジ) | 「成長戦略のためのM&A M&Aを成功させるには何が大切か」 「専門家以外こそ必要な情報セキュリティ」 |
学習院大学(学習院さくらセンター) | 「TOEIC(R)L&R 600点達成 問題分析力×着眼点で得点力アップを目指そう!」 |
首都大学東京 | 「明治・大正・昭和・平成の音楽と社会 「日本人」の心性史」 |
自分の学びたい公開講座が近くの大学で開かれていないか、「(大学名) 公開講座」と入力して探してみるのもおすすめです。
一方、放送大学で受講できる内容は、体系的に学べるように以下の6つのコースが用意されています。
- 生活と福祉コース
- 心理と教育コース
- 社会と産業コース
- 人間と文化コース
- 情報コース(2013年新設)
- 自然と環境コース
一般的な大学と同じく、体型的に専門分野の授業が受講できる点が放送大学の特徴です。放送大学の受講スタイルは、自宅でBSテレビ・ラジオ・インターネットなどで受講したり、スマートフォン・タブレットでも受講できます。また全都道府県に設置された学習センターやサテライトスペースにも再視聴設備があるところもあります。一部に面接授業もありますが、自習を中心とした学習となります。
シニアが優遇される大学やシニア大学校の紹介と受験方法
本格的に大学受験をして、大学に4年間通って卒業したいという方は、大学受験して正攻法で入学を目指しましょう。広島大学など地方大学の中には、受験や授業料などの面でシニアを優遇している大学もあります。
ニアが大学受験をするには「社会人入試」または「AO入試」を利用すると、小論文と面接で受験でき、比較的受験に必要な準備や労力が少なくなるのでおすすめです。ただし、大学によっては、学びに必要な英語や専門科目の試験を実施する大学もあるため、入試科目を事前に確認してください。
大学の公式サイトには、入学案内のページが必ず設けられていますので、そのページで受験資格を確認して受験しましょう。社会人入試の中には、高等学校卒業だけでは受験できない場合がある(※10)ので注意してください。
また、シニア向けの「大学校」でも学べます。大学校では一般的な大学とは違い、好きな科目を好きなだけ学べる点が魅力です。ただ、場合によっては、高等教育というよりも趣味の分野を学べる講座になっているケースもあります。実際に、首都圏にあるシルバー専門の大学校の受講内容の一例を見てみましょう。
【立川市シルバー大学】(※11)
アイフォーン・パソコン、書道、英会話、地域発見など
【立教セカンドステージ大学】(※12)
以下の4つのコースがあり、1年間で自分の興味がある講義をセレクトします。
・エイジング社会の教養科目群
・コミュニティデザインとビジネス科目群
・セカンドステージ設計科目群
・ゼミナールと修了論文
シニア大学校は基本的に希望者全員に門戸が開かれていますが、立教セカンドステージ大学は小論文と面接の試験があります。
定年後の高等教育を受ける手段はさまざま!自分に合った学び方を選ぼう
定年後に高等教育を受けたいという方が学べる手段は4通りあります。
- 大学の公開講座を受講
- 放送大学に入学して自習
- 一般の大学を受験して入学
- シニア専門の大学校で受講
自分に合った学習の場を選んで、学びを楽しんでください。
「生涯学習におけるシニア大学生の現状と課題 P56」
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