ノルマンディー上陸作戦を描いた歴史的な映画「史上最大の作戦」

                    

映画「史上最大の作戦」について

「史上最大の作戦」とは、20世紀フォックスの製作・配給によって1962年に公開されたアメリカ映画。

上映時間が約3時間という大長編になっており、内容は、第二次世界大戦中にドイツの占領下であった北西ヨーロッパへの侵攻作戦(いわゆる連合国軍による「ノルマンディー上陸作戦」)を、詳しく描いた戦争映画です。

モノクロで描かれる映像はシリアスな雰囲気を漂わせており、多くの人員と豪華なキャスト、そして1,200万ドル(約40億円)もの巨額の製作費用を投じてリアルに描かれるストーリーが高く評価されました。ジャーナリストであったコーネリアス・ライアンのノンフィクション作品「The Longest Day」を原作としており、名映画プロデューサーのダリル・F・ザナックが全面的に製作を務めました。

また、監督は劇中の部分ごとに異なるという一風変わった体制をとっており、イギリス関連部分はケン・アナキン(スターウォーズの「アナキン・スカイウォーカー」の名前の由来でもある名監督)、ドイツ関連部分はベルンハルト・ヴィッキ、アメリカ関連部分はアンドリュー・マートンがそれぞれ担当しました。3人もの監督が関わっていながらも、1つの作品としてまとめ上げたダリル・F・ザナックの手腕は、彼にとっても作品にとっても目覚ましい功績であることは確かでしょう。

ストーリーについて

1944年6月、第二次世界大戦は佳境に入ろうとしていました。連合国軍によるドイツ軍への攻め込みも天候の影響で出撃できない状態が続いており、兵士たちの士気も下がりつつありました。

そんな中、上層部では悩み抜いた結果、6月6日の晴天期間でなおかつ短時間のうちにフランス・ノルマンディーへの上陸作戦(作戦名はオーバーロード作戦)を実施することを決めます。その一方、ドイツ軍は悪天候に助けられていた状況で連合国軍の攻め入りもまだ先であろうと安堵していました。

ドイツ軍のロンメル元帥はこう言います。「もし連合国軍が上陸した場合、その時は連合国軍にとってもドイツ軍にとっても“一番長い日”になるだろう」

そして運命の6月6日、ついに連合国軍による上陸作戦が開始されるのでした。

多すぎるほどスターが勢揃いした豪華キャスト陣

製作には巨額の費用を投じただけあって、出演する俳優陣も驚くほど豪華になっているのが映画「史上最大の作戦」の大きな見所の1つ。

当時の映画界、それもアメリカ・イギリス・ドイツ・フランスという4カ国それぞれの映画スターたちが総出演しており、往年の映画ファンにとってはそれだけでも見る価値があるといっても過言ではないでしょう。

【主な出演者】
●アメリカ
ジョン・ウェイン、ロバート・ライアン、スティーブ・フォレスト、リチャード・ベイマー、ヘンリー・フォンダ、エドモンド・オブライエン、ロバート・ワグナー、アレクサンダー・ノックスなど

●イギリス
ピーター・ローフォード、リチャード・トッド、ケネス・モア、ショーン・コネリーなど

●ドイツ
クルト・ユルゲンス、ヴェルナー・ヒンツ、パウル・ハルトマン、ヴォルフガング・プライスなど

●フランス
クリスチャン・マルカン、イリナ・デミック、ジョルジュ・ウィルソン、ブールヴィル、フェルナン・ルドゥー、ジャン・セルヴェなど

あのショーン・コネリーも出演していた!

豪華なキャスト陣を見れば分かる通りですが、映画「007」シリーズでジェームズ・ボンド役として世界的スターとなっている俳優ショーン・コネリーも「史上最大の作戦」へ出演していました。

しかし、「史上最大の作戦」への出演時はまだ無名の俳優で一等兵(フラナガン一等兵)の役を務めていました。また、「史上最大の作戦」の日本初公開時のパンフレットでは彼の名前が現在とは少し異なる「シーン・コネリー」と表記されていました。

劇中ではコミカルな演技を見せていましたが、翌年にジェームズ・ボンド役の主演として大抜擢された「007」シリーズのヒットのおかげで、一躍トップ映画スターの仲間入りを果たしました。

作品におけるヒトラーの描き方

「史上最大の作戦」において、ドイツの総統ヒトラーの描き方に見所があります。

他の多くの戦争映画でも同様の傾向が見られますが、ヒトラーは悪として描かれています。特にこの「史上最大の作戦」では茶化しているのでは、とまで取れるような表現も多く、就寝中で連合国軍の上陸作戦に気づかず、また部下も非常事態でありながら建前でヒトラーを起こすことが出来ずに出撃許可が取れないなどというシーンもあります。

しかしながら劇中にヒトラーの姿は一切登場せず、肖像画が少し見えるシーンがあるだけ、という描き方になっています。ヒトラーは個性や影響力の強い人物であることから、映画での明確な人物としての表現は避けたのではと推測されます。

映画には様々な描き方がありますが、端的に言えばドイツが戦争に負けていく様子を描いている内容が主となるので、これをドイツの人々が見たらどういう感情を抱くのかは気になるところです。

名作として名高いリアルを追求した迫力感

「史上最大の作戦」は、数ある戦争映画の中でも特に名作として評価が高いことで有名です。戦闘アクションシーンは現代でも見劣りしないほど迫力があり、当時の戦争の様子がリアルに描かれています。当時の映画スターたちが勢揃いしている映画でもあるので、昔を懐かしみながら観てみるのも良いでしょう。

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