「がん検診」は健康なときに受けにいこう【検診の種類・受け方】

                    

2016年、40~69歳の「がん検診」受診率は約50%でした。がんは今や2人に1人はかかる時代です。国民健康保険の「特定健診」は受けても、「がん検診」となると時間の余裕がなくて受けていないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、国の推奨する男女共通のがん検診、性別固有のがん検診について、また無料検診についても紹介していきますので、参考にしていただけたらと思います。

加入の健康診断別「がん検診」の受け方

健康診断の種類は2つ、「特定健診」と「定期健康診断」です。それぞれ「がん検診」の申し込み方や受け方が異なりますので確認してみましょう。

国民健康保険の場合
国民健康保険をお持ちの方は40歳を超えると、一年に一度、市区町村の「特定健診」や「がん検診」のお知らせが届くことがあります。それらの案内や市区町村のホームページなどから自分でがん検診を申し込みます。がんの種類によって検診日が異なることもありますので、網羅的に受けたい場合はスケジュールを組みましょう。
また、特定健診には役所や保健センターなどで受けられる「集団検診」と、市区町村が指定した医療機関で受けられる「個別検診」があります。どちらも内容は同じですが、かかりつけ医ですと医師は病歴、日頃の病状、飲んでいる薬も把握していますので、市区町村の指定した医療機関にあなたのかかりつけ医が入っている場合は、近所のかかりつけ医で特定健診を受けることをおすすめします。

会社の保険に入っている場合
お勤めの方の場合はいくつか方法があります。会社によっては定期健康診断に合わせてがん検診を実施することがありますが、ない場合は国民健康保険の方と同じく、市区町村の実施する「がん検診」を受けましましょう。

お勤めの方は、定期健康診断のお知らせと一緒にがん検診の案内も来ますので忘れることはありませんが、定年退職後に国民健康保険に加入する場合、検診の案内が来ないこともありますので、できるだけ自分から積極的に情報収集をしましょう。

男女共通のがん検診の種類と内容

性別に関わらない男女ともにかかる「がん」とがん検診は下記の3つになります。

  1. 肺がん検診
    肺がん検診は、40歳以上の人は1年に1回は受けることが推奨されています。胸部レントゲン検査だけですみますので、痛みや辛さはありません。50歳以上で「1日の喫煙本数×喫煙年数」が600以上の肺がんハイリスク対象者は喀痰細胞診(かくたんさいぼうしん)も調べた方がいいでしょう。
    肺がんで死亡するリスクは、たばこを吸わない人に比べて、5・6倍高くなります。たばこを吸わなくても周囲にたばこを吸う人がいる場合、長時間の受動喫煙をしていることになります。家族に喫煙者がいて、「自分も受動喫煙者かもしれない」と思い当たる人は、ぜひ肺がん検診を受けるようにしましょう。
  2. 大腸がん検査
    大腸がん検査も、40歳以上の人は1年に1回は受けることを国が推奨しています。2016年のデータでは、男性は60代をピークに大腸がんの罹患率(りかんりつ)は減りますが、女性は年齢とともに罹患率が増え、乳がんに次いでリスクの高い病気です。大腸がんの検査は、2日分の便に少量の血液が混じっていないか調べるもので、初期の大腸がんを見つける目的で行います。検査キットの説明書通りにすればよいので自分でできます。
  3. 胃がん検診
    2016年に国の指針が改正されて、50歳以上の人は2年に1回は胃がん検診を受けることを国が推奨しています。以前はバリウム検査でしたが、現在はバリウム検査か胃内視鏡検査を選べるようになりました。ただし、自治体によっては胃内視鏡を選べないところもあります。
    バリウム検査のメリットは、検査費用が安く、胃全体を把握し、動きも診ることができます。デメリットとしては、小さな病変を発見することは難しく、平らながんを発見しにくいということなどが挙げられます。
    胃内視鏡検査のメリットは、胃の粘膜を直接診るので病変を確認しやすいことです。デメリットとしては、麻酔薬にアレルギー反応を起こす人はできないことと、検査費用がバリウムより高くなることなどが挙げられるでしょう。
    また昔は胃内視鏡の検査はとても苦しいイメージでしたが、今は「眠くなるようにしましょうか?」と医師・看護師に聞かれるので、眠くなる点滴を打ってもらうと、苦痛も少なくてすみます。
    また、日本人がかかる胃がんの98%はピロリ菌によるものだと言われています。ピロリ菌の検査にはいくつか方法があり、胃内視鏡検査のときに摘み取ってきた組織から判別する方法もあります。胃内視鏡検査を受ける場合は、ピロリ菌検査も受けておくといいでしょう。

性別固有のがん検診の種類と内容

性別でかかりやすさが異なる「がん」とその種類は下記になります。

  1. 乳がん検診
    女性特有のがんとして、乳がんがあります。乳がん検診は2年に1回は受けることを国が推奨しています。マンモグラフィーは痛いですが、我慢するのは片方1分くらいで2方向から撮ります。
  2. 子宮頸がん検診
    同じく女性特有のがんとして、子宮頸がんも挙げられます。子宮頸がん検診は、子宮頸部の細胞を採取するだけです。少し痛みがある人もいますが、短い時間ですみます。
  3. 前立腺がん検診
    男性特有のがんとして、前立腺がんがあります。前立腺癌かどうかは、PSA検査という血液を調べる検査で分かります。1等身以内の家族に患者がいた場合は、リスクは2~3倍になるので、PSA検査を受けることを考えてもいいかもしれません。また、前立腺がんは歳を取るにつれ発症率が上がるため、60歳を超えたら一度はPSA検査を受けましょう。
    PSA検査の数値が高かった場合は医師に相談し、精密検査を受けたり今後の検査の必要性を相談しましょう。

市区町村や年齢で無料になることも

市区町村によって違いますが、「以下の年齢の方は自己負担額が免除になります」と大腸がん検診、乳がん検診、子宮がん検診などの受診券に書かれていることがあります。これは、集団検診で受けても、医療機関で受けても無料です。「今まで受けていなかった」という人も自分の年齢が無料になっていたら、それをきっかけに受けるのもひとつの方法です。

「健康診断」を受けるときには「がん検診」も一緒に

それぞれのがんのリスクを知れば、その後の検査や治療にかかる経済的な無駄がなくなります。また、自分の知らなったがんリスクにも気付くこともあるので、発症しないように生活習慣を見直すよう対策を打つこともできます。ただ、取る必要のないガンを見つける、切除してしまうといった「過剰診断・過剰治療」のリスクもありますので、精密検査を受けて治療の有無や治療方法を知ることが大切です。

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