運動機能の低下を予防! 体力と筋力を鍛える運動方法

                    

運動機能が低下すると、昔はできていた行動が簡単にはできなくなることもあります。歳をとると仕方がないことだとはいえ、現在の自分の身体状態に不満や不安を抱え始める方も少なくないでしょう。
この記事では、運動機能の低下が生じるしくみやその予防法についてご紹介します。

歳をとると、必ず運動機能が低下する?

歳を重ねると、体形が変化したり、脂肪がつきやすくなったりすることが多いものです。なぜそのような事態に陥るのかというと、基礎代謝が低下するから(※1)だといわれています。

また、基礎代謝の低下は体形の変化だけにとどまらず、体内の細胞も生まれ変わりにくくする特徴があります(※2)。細胞の生まれ変わるサイクルが遅くなると、多くのエネルギーが使えなくなるため、筋肉量が減ってしまいます。それにより筋力も衰え、運動機能が低下するのです。

一方、病気の有無が、運動機能の低下に影響を与えることもあります。身体機能は使えば使うほど発達し、使わない時間が長いと低下する特徴があります(※3)。例えば、病気で引きこもっていたり、寝てばかりの生活をしたりしていると、筋力や骨が衰える大きな原因となってしまいます。

加齢や病気によって、たしかに運動機能は低下します。しかし、性別や今までの生活環境によって、運動機能の低下には個人差があります。

まずはゆっくり始めたい人のための運動機能低下の予防法

筋肉量の目安は、60代男性で28.7%。女性で23%だというデータが示されています(※4)。しかし、これはあくまでも平均で、今までほぼ運動をしたことがない人などは、平均以下の筋肉量の可能性もあります。

日頃から運動が不足している人は、足の筋肉から鍛えることが効果的だとされています。下肢の筋肉量は、上肢よりも加齢による低下率が高いからです(※5)。運動に親しみがなかった人は、まずは初級から始め、運動機能低下の予防を無理のないところから始めましょう。

以下に短時間で実践できて日常生活の中に取り入れやすいエクササイズを、初級・中級・上級に分けてご紹介します。

1.【初級】立っても座ってもOKなドローイン
立ったまま、または椅子に座ったままで行うエクササイズです。大きく息を鼻から吸いながら3秒。その後は口から5秒かけて息を吐き出します。吐き出すときにはお腹をへこませることを意識しましょう。息を吸って吐くを10回、週2~3回続けます。お腹の筋肉を刺激することで筋肉がつき、歩行機能の向上や腰痛予防が期待できます。(※6

2.【中級】踏み台昇降運動
踏み台を用意して、片足からゆっくりと台にあがり、もう片方の足も台にあげて直立姿勢を取ります。その後、最初に上げた足を床に降ろし、もう片方の足も戻して、再度直立姿勢を取ってください。これらの行動を繰り返し、5~10分間行うことを意識。踏み台昇降運動は、太もも全体を鍛え(※7)、要介護状態に陥ることを防いでくれます。

3.【上級】座りながらウォーキング
姿勢よく椅子に座り、ウォーキングをするように足を動かします。足だけでも良いですが、腕も一緒に振ると効果的です。呼吸することも忘れずに、交互に30回程度繰り返してください。このエクササイズは、心肺機能を向上させることで運動意欲を促し、足の筋力の維持が期待できます。(※8

積極的に取り組みたい人の運動機能低下の予防法

若いころから運動を続けてきたなどで、平均よりも筋肉量が多い人もいることでしょう。その場合は、もう少し負荷のあるエクササイズも可能だと言えます。

ここでは、ある程度の時間を使い、屋外でできる運動量の多いエクササイズを初級・中級・上級に分けてピックアップします。

1.【初級】スロージョギング
隣の人と会話をしながら走れる程度のペースを維持しながら、ゆっくりとジョギングをします。歩幅を狭くすることを意識しながら30分程度ジョギングしてください。スロージョギングは、ウォーキングの2倍程度のエネルギーを使うため、運動の強度が上がることが特徴で、他のエクササイズよりも筋肉を鍛える効果があります。(※9

2.【中級】有酸素運動の代表・ウォーキング
ウォーキングの歩幅は無理のない程度に、大股を意識しながら歩いてください。そのとき、足裏はかかとからつま先へと重心をかけるように歩くことがポイントです。肘は引き、姿勢を正しく保ちながら1日30分程度を目安にウォーキングを行いましょう。これを続けることで、身体に柔軟性が出たり(※10)、日常生活の動作の改善や加齢による筋肉量の減少(※11)の予防につながると言われています。

3.【上級】水中ウォーキング
できる限り大股で、腕を前後に動かしながらプールの中を進みます。プールは水の浮力で動きやすいのですが、同時に水圧もかかります。1回で30分~1時間行うと負荷がかかりやすくなるので、効果的です。水中ウォーキングは、続けることでバランス感覚が向上し、転倒予防(※12)が期待できるのです。

運動機能の低下予防はまず自分ができる範囲から

運動をすることで、高齢者も体力や筋力を維持することが可能になります。しかし、運動機能の低下には個人差があるので、各筋肉量別に手軽に行えるエクササイズから始めてみてはいかがでしょうか?

自分に合ったエクササイズを続けることで、無理なく身体を鍛えることができるでしょう。

【引用元】
※1
タニタ「加齢によるからだの変化」内、見出し「年齢を重ねると『からだのかたち』が変化する?」
※2
タニタ「加齢によるからだの変化」内、見出し「『年齢とともに太りやすくなる』は本当」
※3
JA静岡厚生連「機関誌「すてっぷ」特集記事 「高齢者の身体機能」について」内、「積極的な身体活動が大切の見出し、上から4~5行目」
※4
筑波大学 久野研究室資料 2012 年代別の筋肉量(男性・女性)「寝たきり老人になりたくないなら ダイエットはおやめなさい――「筋肉減らし」が老いの原因だった 久野譜也著
※5
亀田グループ「筋力が落ちるってどういうこと?」の上から8行目
※6
武田整形外科内科 高齢者の筋トレストレッチ
プロが教える高齢者の体幹の鍛え方!自宅でできる8種目!
※7
ヨミドクター
高齢者向け 下半身の筋トレ(4)踏み台昇降 太もも全体を強化」の上から4~5行目
※8
株式会社ビーナス
おうちトレーニング 椅子に座ってできるサーキットトレーニング
OGスマイル「毎日続けたい!高齢者が座ってできる運動を現役理学療法士がレクチャー」内見出し「座ってできる簡単エクササイズ!全身運動編」
※9
東上沿線物語
地域情報紙 ゆっくり走り、健康になる  スロージョギングⓇ
※10
健康長寿ネット
高齢者に適したウォーキングとは」内見出し「ウォーキングの全身のフォームの基本的なポイント」
※11
武田整形外科内科 高齢者の筋トレストレッチ
プールで歩いて転倒予防!?高齢者におすすめする水中の運動方法

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