会社勤めの間は強制的に受診していた健康診断や人間ドックも、定年後は強く勧められることはありません。そのため、ついつい面倒で受診しない人も……。しかし、健康を維持するためには、病気の早期発見と対策、生活習慣の改善が必要です。
この記事では自分でできるセルフチェックと、健康診断の受診方法や費用、日々の生活のなかで何に気をつければよいかを解説します。
定年後に受診する健康診断の種類と特徴
定年後に受けることができる健康診断の種類には以下のものがあります。それぞれの特徴を一覧表形式でまとめましたのでご覧ください。
受診方法 | 費用 | 特徴 | |
---|---|---|---|
健康診断 | 健康診断を実施している医療機関に申し込んで受診(※1) | 10,000円程度(※1) | ・一般的な血液検査や尿検査など(※1) ・費用は安めで受診しやすい |
特定健診・特定保健指導(メタボ健診) | ・市町村で募集している場合は申し込んで受診(人間ドックや一般の健康診断とセットになっている場合も多い)(※2) | 一般的な健康診断の費用と同等、無料とする市町村もある(※2) | ・生活習慣病に関する項目を検査して、必要に応じて保健指導を受ける |
人間ドック | 人間ドックを実施している医療機関に申し込んで受診 | 日帰りで3~5万円程度 | ・健康診断や特定健診の範囲も含めて幅広い検査があり、オプションメニューも豊富 |
加入している健康保険組合や地方自治体のがん検診 | 健康保険組合や市町村が実施しているがん検診に申し込み、指定の医療機関を予約してから受診(※3) | 健康保険組合や市町村から補助が出るため比較的安価(※4) | ・健康保険組合や市町村が定期的に募集(※3) ・がん検診は5種類(肺がん、大腸がん、胃がん、子宮頸がん、乳がん) |
人間ドックは一般的な健康診断よりも費用が高めですが、その分検査内容が充実していて、身体の異常を細かいレベルまで予見できる点が特徴です。特定健診(生活習慣病にかかっていないかの検査)は、人間ドックに含まれる場合も少なくありません。
会社に勤めていない場合は、自分が所属している健康保険組合あるいは国民健康保険からの案内を確認して、必要な検査を受けるように進めます。
健康診断の選び方・受け方と注意点
4種類の健康診断を紹介しましたが「どの健康診断を受ければいいか?」と迷うのではないでしょうか。ここでは、健康診断の選び方と受診までの流れ、受診時の注意点について解説します。
健康診断を選ぶときは、以下のポイントをチェックしましょう。
チェックポイント | YESの場合 |
---|---|
広い範囲を検査したい? | 人間ドックまたは健康診断 |
気になる部分だけ検査したい? | 自治体や健康保険組合が実施しているがん検診 |
費用を節約したい? | 自治体や健康保険組合が実施している健康診断やがん検診 |
好きなタイミングで受診したい? | 一般病院での人間ドックや健康診断 |
少々費用は掛かりますが、年1回人間ドックを受診しておくと、特定検診もやってもらえるので安心です。受診する医療機関は、毎年同じ方が毎年の変化を確認できます。毎年通うことを念頭に置いて、通院しやすく保健指導も受けられる病院を選ぶことも大切です。
健康診断を受診する流れは以下の通りです。
- 診断内容を決める(人間ドックのオプションを適宜つける)
基本の健康診断・人間ドックの他に、オプションを付けられる場合、どれを付けるのか事前に検討しましょう。 - 医療機関に予約の電話を入れる
健康診断は多くの場合予約制のため、事前に診断内容を決めて予約する必要があります。予約すると問診票と尿検査キットなどが送られてきます。 - 前日から当日にかけて、医療機関の指示を守って食事制限や尿取りなど受診準備を行う
受診の前日から当日にかけては、医療機関からの指示を守って食事制限や尿取りなどを忘れず行いましょう。 - 検査キットや問診票を忘れないように持参し、予約時間に受診する
受診後の保健指導は積極的に受け、生活習慣のどの部分を見直すべきかを確認しておくことも大切です。
健康診断を受診するときの注意点は以下の2点です。
- 経過を把握しやすいため、受診する医療機関は毎年同じ施設にする
- 自治体や健康保険組合で人間ドックの費用補助がある場合は、受診前に申請方法を確認
健康診断を毎年別の医療機関で受診する人がいますが、検査項目などが病院によって多少違いますので、毎年の検査結果を単純比較できない場合もあります。できれば、検査結果を簡単に比較できるように、受診施設は毎年同じにしましょう。
毎日のセルフチェックと便利なツールの紹介
健康維持のために健康診断を受診することは重要です。しかし、毎年1回の健康診断だけに頼るだけではなく、自分でセルフチェックも行いましょう。毎日セルフチェックを行うことで、些細な変化にも気付きやすくなり、病気の早期発見にもつながります。
毎日簡単にできるセルフチェックは以下の通りです。
- 基本項目の測定:体重、脈拍、血圧、体温
- 追加測定におすすめの項目:歩数、距離計測、消費カロリー、心拍数、血中酸素濃度、睡眠時間(熟睡)
これらのデータを毎日計測して記録するのに便利なツールもいろいろあります。BMIや体脂肪率が測定できる体重計や、歩数や睡眠時間などが計測可能な活動量計(スマートウォッチ)はその一例です。毎日測るだけでインターネットを介してデータを蓄積できるタイプもあるので、日々の記録が取りやすく、時系列での変化も把握しやすくなります。
また、厚生労働省が公開しているe-ヘルスネット掲載のセルフチェックリスト(※4)もおすすめです。質問形式になっていて、脳卒中や心筋梗塞、糖尿病などの生活習慣病にかかるリスクをスコア化することができ、生活習慣の問題に気付けるようになっています。無料ですので、ぜひ使ってみてください。
健康診断とセルフチェックを健康維持に役立てよう
健康診断の種類と選び方、および毎日の習慣にしたいセルフチェックについて解説しました。健康診断もセルフチェックも、継続することが健康寿命を延ばすことにつながります。老後を楽しく充実した時間にするためにも、ぜひ自身の健康に気を配り、いきいきとした毎日を送れるようにしましょう。
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「健康セルフチェック」