健康寿命の解説と今からできる健康維持の方法

                    

近年、日本人の平均寿命とともに健康寿命も延びています。
この記事では健康寿命の基礎知識や、健康寿命と平均寿命の違い・特徴について解説します。また自立した生活を続けるための健康維持方法についてもまとめました。

健康寿命の定義と2016年の統計情報

健康寿命とは医療や介護に依存しないで自立的に日常生活を送ることができる期間であり、対して平均寿命は人が生まれてから亡くなるまでの年数です。

健康寿命と平均寿命の「差」は、健康上の問題によって自立した生活が困難になり、継続的な医療・介護に依存して生活する期間です。

内閣府が発表している平成30年版高齢社会白書(概要版)(※1)によると、2016年時点で、男女別の平均寿命と健康寿命、その差は以下の通りになっています。

  • 男性:平均寿命80.98歳、健康寿命72.14歳、その差8.84年
  • 女性:平均寿命87.14歳、健康寿命74.79歳、その差12.35年

男性で9年弱、女性で12年あまりが、健康上の問題で日常生活に何らかの制限がある状態で生活しているという計算です。毎年の調査結果を見ると健康寿命は長くなっていますが、依然として両者の間には開きがあります。

では、自立的な生活ができなくなるきっかけには、どういったものがあるのでしょうか。

自立的な生活ができなくなる要因と、家族にかかる負担とは

自立的な生活ができなくなるきっかけの代表的なものを3つ紹介します。

【総合】
・認知症18.7%
・脳血管疾患15.1%
・高齢による衰弱13.8%

【男性】
・脳血管疾患23.0%
・認知症15.2%
・高齢による衰弱10.8%

【女性】
・認知症20.5%
・高齢による衰弱15.4%
・骨折・転倒15.2%
※2

男性の場合は、脳血管疾患が最も多く、他の原因と比べてかなり高い割合です。女性の場合は、認知症が最も多く、3つめに骨折や転倒が入っている点が、男性と大きく異なります。

介護者の6割は同居家族(※3)であり、要介護3以上になると介護の負担が大きく増加する(※4)という調査結果も出ています。家族や自分自身のことを考えると、少しでも長く健康寿命を延ばすために、何らかの対策を講じたいところです。

また、要支援になる原因は関節疾患(※5)が最も多く、運動器障害に分類されます。要介護・要支援になる原因は、脳と運動器に関わる疾患が主なもの(※6)です。要介護・要支援になるリスクを下げ、健康寿命を少しでも長く保つには、脳と運用器を適切に維持することが重要だということが分かります。

それでは、健康寿命の延伸について、今からできることは何があるでしょうか。

健康寿命を伸ばすために今からできる5つのこと

ここまで説明したことを踏まえて、健康寿命を延ばすために今からすぐ始められる予防策を5つにまとめました。

  • 両親や親族の寿命と病歴を確認:健康寿命を延ばすことに活かす
  • 脳を使う:脳賦活(のうふかつ)運動の実践
  • 適度な運動:1日30分を目安に身体を動かす
  • 食生活の見直し:塩分を控えめに腹八分目、女性は骨粗しょう症の予防を意識した食事を摂る
  • 睡眠の改善:良い質の睡眠を保つ

まずはじめは、自身の両親や親族の寿命と病歴の確認をしましょう、自身の両親や親族の寿命と病歴の確認です。遺伝的にどのような持病が多かったのか、死因は何が多かったのかを知ることで、自分が将来罹患しやすい病気を知り、対策を立てることができます。

脳疾患を予防するための対策としては、脳と身体を一緒に動かすような脳賦活運動を習慣づけて脳の訓練をすることです。あわせて塩分を控えた食事にするとより効果的です。

運動機能を保つためには、1日30分程度の運動が効果的です。この運動に、脳も働かせるようなゲーム性のある動きを取り入れ、脳賦活(ふかつ)運動も兼ねるようにするとさらに良いでしょう。また、女性は骨粗しょう症を予防するために、カルシウムを意識的に摂取しましょう。

最後に気をつけたいポイントは睡眠です。生活のリズムを整えて睡眠の質を上げるため、厚生労働省が認知症の方の睡眠の質を保つためにかかげている10か条を参考にして、良質な睡眠が得られるように意識しましょう。

  1. 就寝環境を整える(室温・照度)
  2. 午前中に日光を浴びる
  3. 入床・覚醒時刻を規則正しく整える
  4. 食事時刻を規則正しく整える
  5. 昼寝を避ける/日中にベッドを使用しない
  6. 決まった時刻に身体運動する(入床前の4時間以降は避ける)
  7. 夕刻以降に過剰に水分を摂取しない
  8. アルコール・カフェイン・ニコチンの摂取を避ける
  9. 痛みに充分対処する(気づいていないことも多い)
  10. 認知症治療薬(コリンエステラーゼ阻害剤)の午後以降の服薬を避ける
  11. ※7

生活習慣を変えるなど、すぐに実践の難しい対策もありますが、少しずつ生活習慣を改善していきましょう。

健康寿命を延ばすために生活習慣を見直そう

健康寿命の定義と健康寿命を延ばすためにできることを紹介しました。生活習慣を見直すことはもちろんのこと、自分の家族や親戚の持病や死因、寿命を知り、自分がどういう原因で健康を損なう可能性があるのかを把握して、その原因を回避する対策を打つことが大切です。

いつまでも健康で長生きするために、今からできることを始めましょう。

【引用元】
※1 ※2 ※3 ※4
内閣府
平成30年版高齢社会白書(概要版)」第1章 高齢化の状況(第2節 2)
※5 ※6
健康寿命を延ばそう | 村田裕之の団塊・シニアビジネス・高齢社会の未来が学べるブログ
」見出し「要介護・要支援になる原因は何か?」
※7
厚生労働省 e-ヘルスネット
高齢者の睡眠

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