自分らしい人生の締めくくりのため、また残される家族のために行う大切な終活。現代においてより良い人生を送るために必要な終活の中でも、特に注目したいのが「エンディングノート」です。
エンディングノートは自分の人生を生きた証としてさまざまな内容を記録し、また残された家族が困らないように残すもの。エンディングノートの基本について見ていきましょう。
自分の人生を記録に残そう! エンディングノートとは?
死はライフイベントのひとつとして、誰にでも起こるもの。エンディングノートはいずれ訪れるそんな最期に向け、自分らしく生きた証や人生の歴史など、さまざまな情報を残しておくことができます。
終活に向けてやっておきたいことなども整理することができるエンディングノートは、終活へのスタートとも言えるでしょう。
エンディングノートに法的拘束力はなく、書く内容には決まりはありません。大切な人へのメッセージやこれまで秘めていた想いなどを、日記を書くように自由に書いてみましょう。また第三者の加筆や修正に留意する必要がありますが、暗唱番号やパスワードなど残された人が必要な情報などもまとめておくと、自分の備忘録にもなります。(※1)
自分がいなくなった後に宝物のように思い出として時々読み返してくれる、また残された人が困らないことを書き残すことを意識すると良いでしょう。
エンディング・ノートという言葉が広がった理由のひとつと言われているのが2011年公開の映画『エンディングノート(砂田麻美監督)』(※2)と言われています。ドキュメンタリー映画として実話をもとに製作された本作は、評判も高く(※3)DVDも発売されているので、エンディングノートに書き記す内容の参考に鑑賞してみるのもおすすめです。
エンディングノートと遺書・遺言書との違い
死を前提とした書面や文書と言えば「遺言書」や「遺書」ですが、エンディングノートとの違いはどこにあるのでしょうか。
「遺言書」(※4)は、自分に万が一のことがあった場合、死後の遺産や財産分与をどうするか、不動産や事業などの管理を誰に託すのかなどについて、民法の規定に従って書面にしたもので、遺言書に書く内容は法律で定められています。遺言書は原則法律で定められた相続規定よりも優先され、法的拘束力があるため相続をスムーズにおこなうことができます。
「遺書」(※5)は自分が亡くなることを覚悟して自分の気持ちである「遺言」を文書にしたもので、手紙だけでなくメール形式などのものも含まれます。家族や関係者に宛てて、主に今の自分の心境や想いを手紙にしたためたもので、法的拘束力はありません。
エンディングノートと遺言書を比べてみると「法的拘束力の有無」の違いがあります。またエンディングノートは形式や内容に縛りがなく、生前のことを書いてもOKですが、遺言書には死後のことしかかけません。
基本的にエンディングノートに法的拘束力はありませんが、「任意後見人契約書」「財産管理委託契約書」などを別途公的証書で作成しておけば、認知症で判断能力がなくなったときや体が不自由になったときなどに強制力を持たせることも可能(※6)です。
またエンディングノートと遺書は比較的内容が類似しているようにも思えますが、作成時期や内容が自由なエンディングノートに対し、遺書はある程度差し迫っている最期に向けて、自分の気持ちに特化した内容を書くという点に違いがあります。
エンディングノート作成のメリット
エンディングノートを作成しておくことで、さまざまなメリットがあります。
・家族や大切な人に想いを伝えらえる
これまでの長い人生で、数多くの人に出会ったことでしょう。
家族はもちろん、小さいころに優しかった人、学生時代の恩師、仕事で出会った人々など、感謝や自分の気持ちをエンディングノートを介して伝えることができます。
また葬儀の希望やスタイル、招いて欲しい人など実務的な希望を連絡できることも、エンディングノートのメリットです。
・人生を振り返り、これからどうしたいかを整理できる
エンディングノートを書くと、自分の人生にいつどんな出来事があったのかを振り返るきっかけになります。人生を振り返ることで、忘れていた大切な思い出がよみがえったり、見過ごしていた幸せに気づくきっかけになるでしょう。(※7)
そして残りの人生をどうやって生きるか、どんな人に会って何をするのかなど、自分らしい人生を送るためにこれからするべきことを整理することができます。
※2:
映画『エンディング・ノート』
より
※3:映画.com
「エンディングノートのレビュー・感想・評価」
より
※5:遺産相続ガイド
「遺書と遺言書の違いは何?残された家族のために知っておくべきこと」
より
※6:弁護士の相続コラム
「エンディングノートに法的効力はある? 遺言書との違い」
より