名曲「神田川」を生み出した70年代フォークグループ「かぐや姫」

                    

フォークグループ「かぐや姫」について

「かぐや姫」は、1970年から活動を開始した日本のフォークグループ。リーダーの南こうせつ(ギター)を中心に、伊勢正三(ギター)、山田パンダ(ベース)の3人で構成されています。活動初期は、南以外のメンバーが異なっており、森進一郎、大島三平というメンバーがいました。

フォークソングのセオリーであった“メッセージ性”はあまりなく、普通の私生活から生まれる歌詞が特徴的で、恋の歌や失恋の歌などを多く作り出していました。代表曲には大ヒットした「神田川」などがあります。また、ギター2本とウッドベースという編成でのライブコンサートの評判もかなり良く、多くのファンを虜にしていきました。

第1期デビューから解散まで

1970年にデビューしたかぐや姫でしたが、当初は「南高節とかぐや姫」という名義で、メンバーは南こうせつ、森進一郎、大島三平という3人組でした。この時期を第1期かぐや姫と呼んでいます。また、活動の途中でグループ名を「南こうせつとかぐや姫」に変更しています。

「酔いどれかぐや姫」などの代表作を発表しつつ、テレビ番組「全日本歌謡選手権」へ出場して4週に渡って勝ち抜くなど実力のあるグループとして認知度を広めていきました(ちなみに、同番組にはまだ無名であった五木ひろしも「三谷謙」という名義で出場しており、10週勝ち抜いてグランドチャンピオンを達成して成功を遂げていました)。

「南高節とかぐや姫」は、他にもテレビ番組「桂三枝のさかさまショー」へ出演したりしていたものの、結果的にシングル3枚とアルバム1枚と発表したのち、わずか1年間の活動で解散に至りました。

第2期かぐや姫として再デビュー

1971年夏に解散したかぐや姫は、同年に再結成します。南こうせつ以外のメンバーが入れ替わる形で、高校の後輩であった伊勢正三とフォークグループ「シュリークス」の元メンバーであった山田パンダが加入し、以前と同じ「南こうせつとかぐや姫」の名義で同年9月にシングル「青春」を発売して再デビューします。

その後は1972年4月にアルバム「はじめまして」をリリース。このアルバムの制作には吉田拓郎らが協力し、5万枚を売り上げました。翌年の1973年9月にはアルバム「かぐや姫さあど」の収録曲であった「神田川」をシングルカットして発売。これが深夜放送のリスナーなどによって人気に火がつき、売り上げ枚数160万枚を記録する大ヒット曲となりました。

その後も「赤ちょうちん」(この曲の発表時からグループ名が「かぐや姫」になりました)や「妹」などの曲を発表していきましたが、この頃からレコード会社の一方的な意思決定によってメンバー側の意見が無視されてしまうようなことが続き、これがグループ解散の引き金となってしまいました。

そして1975年4月、東京神田共立講堂でのラストコンサートをもってかぐや姫は解散しました。

解散後の再結成が実現

レコード会社との亀裂もあって惜しくも解散してしまったかぐや姫のメンバーたちはそれぞれで音楽活動を継続していきました。

その中で、1978年にはかぐや姫として新作アルバム「かぐや姫・今日」を発表して期間限定の再結成を果たします。この後は全国ツアーも行なったりして精力的に活動しました。さらに、1980年には再々結成して「木田高介・阿部晴彦追悼コンサート」に出演。その後も機会を見て度々再結成コンサートを行うようになっていきました。

2006年以降から、かぐや姫のメンバー3人揃っての大々的なコンサートは実施されていませんが、また彼らの姿を見たいというファンも多いことでしょう。

ラストコンサートの録音に謎の声が…!?

1975年4月に行われたかぐや姫の解散コンサートの約半年前、南こうせつが出演していたラジオ番組に一通の葉書が届きました。

それは重い病気を抱えた女性ファンからによるもので、「解散コンサートに行くためにチケットを買いました。でも、病気のためにコンサート当日までに生きているか分からない」という内容でした。これを聞いた南は涙ながらに彼女へ声援を送ったそうです。

それから解散コンサートが終わったあと、その女性ファンの友人からの知らせによって亡くなったことが判明。ファンの女性も南自身も悔しい気持ちであったのではないでしょうか。ここからさらにしばらして、今度はオカルト的な話が持ち上がってきました。

かぐや姫の解散コンサートを録音した音源に、謎の女性らしき声が聞こえるという噂が流れ、音源が別のラジオ番組で放送されたりして話題になりました。謎の声は「わたしにもきかせて」という言葉を残しており、さらにこの声を逆再生すると「わたしもそこにいきたい」と聞こえるというもので、解散コンサートの直前に亡くなった女性ファンの霊の声ではないかとされました。

その後もオカルト話としてテレビ番組などでも取り上げられるようになりましたが、検証によってラジオでの葉書の件をモチーフとしたイタズラであったとされています。怖い話として面白がるのも良いかもしれませんが、ファンの気持ちをイタズラにしてしまうのは少し残念です。亡くなった女性ファンのコンサートを聴きに行きたかった気持ちは、南が受け止めていますし、その気持を他のファンも大事にしていくことが必要なのではないでしょうか。

いつになっても聞きたい温かい歌声

暖かい歌声とサウンドで恋の歌を多く届けてくれたかぐや姫。残された作品や映像で今一度彼らの活躍を振り返ってみるのも楽しいですね。そしてまた再結成コンサートが行われるのを期待します。

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