老後破産はめずらしくない!? その現実と予防法

                    

定年後は年金をもらいながら、悠々自適な生活を過ごすのが理想、と思っている方がいるかもしれません。しかし、現実は豊かな老後どころか、貧窮した毎日を過ごす可能性もあります。
この記事では老後破産をしている高齢者の割合やその状況、老後破産への備えについてまとめました。

老後破産とはどういうものなのか? 実際の割合や状況

老後破産とは生活が困窮しており、経済的に破綻している高齢者世帯のことを言い、下流老人と呼ばれることもあります。多くの場合は、60代以上で預貯金などの金融資産が500万円未満の世帯が老後破産に当てはまるとされています。

そこで、2015年に金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」[二人以上世帯調査](※1)の内容を確認すると、500万円未満はおろか、金融資産を保有していない60代以上の高齢者が約3割いるという結果が示されているのです。(※2

また、500万円以上の金融資産を持ち、年収の高い仕事に就いている現役世代でも、資金運用の仕方を誤ってしまう可能性もあります。例えば、現役時代に年収1,000万円で、退職後の年金の受給額が毎月35万円の人がいたとします。しかし、出費が多い生活を続けたり、事故や病気で長期の入院を強いられたりすることで、定年前に蓄えていたお金を使い果たすケースも少なくないでしょう。

老後破産に陥る原因を知っておこう

老後破産に陥るケースには、いくつかの共通した原因(※3)が存在します。

  1. 老後の生活スタイルを見直さず、現役時代の金銭感覚のままで過ごしていた
    定年後の収入は、主に年金だけになる方もいることでしょう。しかし、現役時代の感覚が抜けずに食費や生活用品の購入費、交際費などを今まで通りに使ってしまう方も多いものです。そのため、気が付いたら思った以上に出費を重ねてしまったということもあります。
  2. 歳を重ねたことにより病気の治療や介護が必要になり、医療費などがかさんでいった※4
    歳を取ると健康を害するリスクは年々増加します。特に、長期の入院や治療が必要になった場合は、その医療費が莫大な金額になり、家計を圧迫する可能性があります。
    体が思うように動かなくなってしまうと、治療だけではなく日々の生活の介護も必要となってきます。老人ホームに入居しない場合でも、在宅介護という形でデイケアサービスや訪問介護を選択すれば、月あたりの出費は増えてしまいます。
  3. 本業のみで、定年後に働くという選択肢を考えていなかった※5
    現役時代は定年を迎えた後のことをイメージしていない方もいるかと思います。今まで努力してきた分、定年後は心身ともに楽に暮らしたいと思っていた方もいるでしょう。ただ収入が年金のみとなると、当初の想定には反して切り詰めた生活を送らなければならなくなる可能性もあります。

老後破産しないための予防法を立てておく

老後破産はゆゆしき問題ではありますが、工夫しだいで予防することが可能です。なるべく早いうちにその方法を知り、老後破産に備えましょう。

  1. 自分のライフスタイルを見直して、年金ぐらしに備える
    まずは自分が受け取れる年金額をシミュレーションしておきましょう。年金による収入と日々の出費を把握しすることが大切です。
    さらに、定年前の時点で定年後の生活を想定しながら貯蓄を行うことも重要です。例えば、給料日に毎月決まった額を別口座に移す、先取貯金の習慣を身に付けましょう(※6)。また、公的年金だけに頼らずに済むように、個人年金保険への可能も検討してみましょう。
  2. 定年後は医療費がかさむことを知っておく
    免疫力の低下や身体の衰えなどにより、若いころに比べて病気にかかりやすく、介護が必要になるケースも増えます。そのため、現役時代から自分を過信せずに、定期的に健康診断を受けて、病気の早期発見や治療を心がける姿勢が大切です。
    また、退職後に重篤な病気や介護生活になった場合は、医療費や介護費を年金や預貯金から捻出しなければなりません。もしもの時の医療費などを年金と貯蓄だけに依存しないためにも、民間の医療保険の検討をおすすめします。50代以上からでも加入できるタイプの保険もありますので、将来の健康状態に不安があるのであれば医療保険の加入も検討しましょう。
  3. 定年後も働くという選択肢を視野に入れておく
    人生100年時代(※7)に向かう現代において、定年はゴールというわけではありません。今までの企業での役割を終えた場合も、定年後も働くという選択肢に目を向けてみましょう。今までの経験やスキルを活かして他の企業に再就職したり、フリーランスとして活動する道も模索してみてください。
    定年後もキャリアを重ねることで収入を継続的に得られると同時に、社会とつながり続けることで、生きがいやメリハリがある生活にも繋がってきます。

老後破産を防ぐには退職前から危機感を持つこと

定年後は、現役時代と比べて必然的にライフスタイルが変化します。そのため、現役時代から危機感を持ち、老後破産しないように備えておくことが大切です。また、少しずつ貯蓄や資金運用を行うことで、定年後の生活を豊かなものにしていきましょう。

【引用元】
※1
知るぽると
家計の金融行動に関する世論調査
※2
知るぽると
家計の金融行動に関する世論調査」年令別の部分の、60歳代と70際代の部分を参照。
※3
LEGAL MALL
老後破産になる原因と対策生活が苦しくて貯金できない時の相談窓口 2、老後破産に陥る原因
※4
LEGAL MALL
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※5
freee
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※6
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