内縁の夫婦が知っておくべき「遺産相続の知識」

                    

婚姻届を出さずに内縁関係で長年暮らしてきたご夫婦の場合、将来の遺産相続についてしっかり対策しておく必要があります。内縁の夫婦はお互いに相続権がないからです。何もしなければ、残された夫や妻が遺産を受け取れない可能性が高まります。
内縁のパートナーに遺産を残すためには遺言書の作成や贈与などの方法があります。さっそくみていきましょう。

内縁の妻・夫には法律上の相続権が認められない!

人が亡くなったら相続が起こります。遺産を相続できるのは基本的に民法の定める「法定相続人」ですが、内縁の配偶者はそこに入っておらず、相続権がありません。

法律婚の配偶者は最優先の相続人になりますが、内縁の場合には一切の遺産を受け取れないのです。逆にあなたが再婚で、前妻や前夫との間に子どもがいる場合には、前妻や前夫の子どもがすべての遺産を相続します。

内縁のパートナーが何の対策もしなかった場合のリスクとは?

内縁のパートナーのいる方が何の対策もせずに死亡すると、以下のようなリスクが発生します。

  1. 前妻、前夫の子どもが内縁のパートナーを家から追い出す可能性
    前妻、前夫との間に子どもがいる方は、子どもがすべての遺産を相続します。
    内縁のパートナーと暮らしている自宅があなたの名義になっていると、子どもが自宅を相続するので、子どもが所有権にもとづいて内縁のパートナーに明け渡し請求する可能性があります。内縁のパートナーは、長年暮らした家を追い出されてしまうおそれもあるのです。あなた名義の預貯金などは子どもがすべて取得するので内縁のパートナーは生活に困ってしまうでしょう。
  2. 相続財産管理人の選任が必要
    あなたに子どもなどの相続人がいない場合、内縁のパートナーは「特別縁故者」として遺産を受け取れる可能性があります。しかしそのためには家庭裁判所で「相続財産管理人選任の申立」をしなければなりません。大変な手間と費用がかかってしまいます。その手続きが面倒で方法がわからないのであきらめてしまい、結局は遺産を受け取れなくなる可能性も高まります。

対策方法その1 遺言書を作成する

内縁のパートナーに財産を残したいなら、遺言書作成が有効です。遺言書を作成すれば、法律上の相続権がない人にも財産を受け継がせることが可能だからです。 遺言書で「自宅や預貯金などの重要な財産を内縁のパートナーへ遺贈する」と書いておけば、死後のパートナーの生活が保障されます。 ただし前妻や前夫との間に子どもがいる方の場合、子どもに「遺留分」が認められるので要注意です。遺留分とは法定相続人に最低限認められる遺産の取得分です。遺留分を侵害すると、死後に「遺留分侵害額請求」が起こってトラブルになってしまいます。 遺言書を作成するときには、子どもの遺留分にも配慮しながら、できるだけ侵害しない割合を計算しつつ配偶者へ遺産を残しましょう。

遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。これらのうちもっとも確実性が高いのは公正証書遺言です。公正証書遺言は公務員である公証人が作成するので間違いが発生しにくく、公証役場で保管してもらえるので紛失や書き加え、破棄などのおそれがありません。

内縁の配偶者のいる方は、必ず生前に公正証書遺言を作成しておくよう、お勧めします。方法がわからない場合、弁護士や司法書士に相談してみましょう。

対策方法その2 生命保険に加入する

内縁のパートナーのいる方にお勧めの遺産相続対策の2つ目として、生命保険の活用が挙げられます。生命保険に入り、内縁の妻や夫を死亡保険金の受取人にしておくのです。すると、死亡したときに内縁のパートナーに高額な死亡保険金が支払われて葬儀費用や死後の生活資金にできます。
また死亡保険金は「相続財産」にならないので、内縁のパートナーに高額な死亡保険金を受け取らせても前妻の子どもから遺留分を請求される心配がありません。

相続税は課税されますが、控除も認められます。控除される金額は以下の通りです。
法定相続人数×500万円
内縁のパートナーには相続権がないので上記の控除の算定基礎にできませんが、他に相続人がいれば控除されます。

対策方法その3 生前贈与する(ただし贈与税に注意)

内縁のパートナーへ財産を残す方法の3つ目は「生前贈与」です。生前贈与とは、本人が生きている間に財産を特定の相手に贈与する契約です。

生前贈与しておけば、その財産は確実に内縁のパートナーのものになるので、前妻や前夫の子どもにとられることはありませんし、相続財産管理人を選任する必要もありません。

ただし生前贈与すると「贈与税」がかかるので要注意です。1年に110万円までの贈与税の基礎控除などを利用しながら上手に生前贈与を重ねていきましょう。たとえば預貯金や株式などを1年に110万円程度贈与し続ければ、5年、10年が経過したときにそれなりに高額な資産を生前贈与できます。これを「暦年贈与」と言います。

内縁のパートナーのため、しっかり相続対策を!

生きている間は内縁関係で問題ないと感じていても、死亡すると大変なリスクが発生する可能性があり要注意です。公正証書遺言の作成を基本として生命保険や生前贈与も組み合わせながら対策を進めていって下さい。自分たちでどのようにしてよいかわからないときには弁護士や司法書士に相談すると良いですよ。

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