• 日本で課税される税金と海外で課税される税金がある

リタイアしたら海外に移住したい、そんな漠然とした思いをかかえている方は多いでしょう。

実際、近年定年退職後のシニア世代を中心に、海外移住が人気です。渡航先もマレーシアやフィリピン、タイなどの東南アジアやオーストラリアなどのオセアニア地域などさまざまです。

ただ、海外移住する際には、税金手続きや制度が日本にいる場合と異なります。税金にはいろいろな種類があり、海外移住後は海外で課税されるものもあれば、日本で課税されるものもあります。

たとえば所得税(海外で働いて得たお金にかかる税金)や住民税は、海外に移住した場合基本的に海外で課税されます。これに対し、日本で所有している不動産の固定資産税、日本に所有している不動産の賃貸収益は日本で課税されますし、親が海外に居住していて海外で亡くなった場合でも、財産が日本にあったり相続人が日本に住んでいる場合には日本で相続税が課税されることになります。

このように、海外移住する際には、日本で課税される税金と海外(現地)で課税される税金があることをまずは抑えておく必要があります。

  • 日本よりも大幅に税金が安い国がある

海外移住と税金を考える際、1つ知っておくと役立つことがあります。それは、海外では日本に比べて大幅に税金が安い国があるということです。

たとえば日本では、所得税の税率は累進課税ですが、最高税率は40~45%になっていますし、その他にも10%の住民税などがかかります。これに対し、シンガポールでは最高税率が20%となっているので、シンガポールに移住すると、大変税金の負担が軽くなることがあります。

税金の安い国は、他にもタイやベトナム、カナダやマルタ、アルゼンチン、コスタリカ、モロッコなど多数あります。

海外移住先を検討する際には、その国の税率についても考慮要素にしてみると良いでしょう。

  • 住民票を残していると日本で課税される

海外では所得税や住民税が日本と異なり、安くなることがあることはわかりました。

ただ、何も手続きせずにそのまま海外に行ってしまうと、日本での課税が免除されません。日本での課税を免除してもらうには、海外転出届を提出して日本での住民登録を抹消する必要があります。

日本の国民健康保険を利用するためなどの理由で、日本での住民票を残したまま海外に渡航する人がいますが、この方法を執ると、日本での税金(住民税)が免除されないので注意しましょう。

住民税はその年の1月1日にその町に居住している人に課税されますので、その日より前に海外転出届を提出すれば、その年の住民税課税を免除されることになります。

 

  • 海外不動産への課税

日本人が海外に不動産を持っている場合には日本で不動産を持っている場合とは課税方法が異なります。

この場合、所有者が海外に居住しているか日本に居住しているかによっても課税方法が異なりますので、順番に見てみましょう。

まず、日本に住む「居住者」の定義を明確にしておきましょう。「居住者」とは、は日本に住所があるか、または1年以上日本に居住している人のことで、それ以外は「非居住者」扱いになります。

海外に住む人が海外に不動産を持っている場合には、その人の居住国(現地)の税務規定によって課税されることになります。すなわち、海外移住して現地で自宅などを購入した場合には、基本的に現地の課税制度が適用されることになります。

これに対し、日本居住者の場合には日本の税率が適用されます。海外で不動産を購入しても帰国した場合や、息子などに譲ったり相続された場合には、息子は日本の税制に従って納税する必要があるということです。

この場合には、現地において外国人所有者に対して減税などの制度があっても利用することは基本的に難しくなりますので、注意しましょう。

さらに、海外不動産を所有している場合、現地国にも課税権利が生じてしまい、日本居住者にとっては二重課税になってしまうことがあります。この場合には、日本で所得税を申告する際に、現地国に納付した税金の額を控除して申告することが可能です。

 

  • 日本で課税される場合には確定申告が必要

海外で働いて得た給料などにかかる所得税や住民税については、海外移住した場合には海外の税制が適用されるので、日本で税金を納める必要はありません。これに対し、日本に所有している不動産などの財産はたとえ海外に居住していても日本で課税されます。

海外居住者であっても日本に不動産などの財産があれば、それを子どもに贈与した場合には贈与税がかかりますし、相続が起こったら相続税がかかります。これらの税金支払いはすべて日本で行う必要があるのです。不動産を賃貸した収益金にも日本での所得税がかかってきます。

海外に住んでいる場合であっても日本で課税される場合には、日本で確定申告することが必要になります。

日本で確定申告する際には、課税年度の翌年の2月16日から3月15日までの期間に、管轄の税務署宛に確定申告書を提出する必要があります。事前に納税管理人を選出しておけば、納税管理人に代わりに手続きしてもらうことも出来ます。納税管理人とは、本人の代理で申告や納税をする人のことで、親族等を選ぶことが多いですが、会社や税理士等を指定することも可能です。

また、海外に居住している場合には、居住している現地国でも確定申告などの現地の納税制度に従った手続きが必要になります。

このように、海外移住する際には税金に関する取り扱いが複雑になることがあるので、しっかり理解して把握しておくことが大切です。

参考にしてみてください。