• リタイア後の海外移住に年金や健康保険は必須

定年退職後(リタイア後)への海外移住は、シニア世代に大人気です。移住先もマレーシアやフィリピン、タイなどの東南アジアをはじめとしてオーストラリアなどのオセアニアなどさまざまです。

海外移住する場合には、生活基盤が重要ですが、特にシニア世代の場合、経済的には年金受け取りが必須になります。また病気や怪我をした場合の健康保険の取り扱いも重要です。

そこで海外移住先で年金を受け取る方法や、健康保険制度についてしっかり理解しておく必要があります。

そこで今回は、海外移住する際の年金の受け取り方や注意点、健康保険がどうなるのかについて解説します。

  • 年金の受け取り方

そもそも海外移住しても日本の年金が受け取れるのでしょうか。

実際、海外移住先でも日本の年金は受け取れます。年金を生活の基盤として、物価の安い海外で悠々自適の生活をしている方もたくさんいます。

海外で年金を受け取る場合は、いくつかの手続きを踏む必要があります。

まずは、役所へ行って「海外転出届」を提出します。そして、社会保険事務所において「年金の支払いを受ける者に関する事項」の用紙をもらいます。これに記入したら、社会保険業務センターへ送付しましょう。これで手続きは完了します。

年金は、振り込み送金によって受け取ることが出来ます。日本にいるのと同様に2ヶ月に1回の送金になります。海外転出の手続きをした場合、振込先の金融機関については日本の銀行だけでなく海外の金融機関を指定することもできて便利です。

年金の受け取りを開始した後にも手続きがありますので、注意が必要です。その手続きとは、「現況届」です。現況届は、毎年年金受給者の誕生日がある月に現況を報告するもので、提出を忘れると年金が支給停止されてしまいます。後日提出すれば年金が遡及的に支給されるので、もらえる年金の金額が減ってしまうわけではありませんが、一時的であっても年金支給が停止すると生活に困ることもあるでしょう。

現況届は毎年移住先に届くので、必要な在留証明書等をつけて、返送すれば手続きできます。

移住先で引越しした場合などは、その届けもしておかないと自宅に現況届が届かず、年金が止められることもあるので注意が必要です。

なお、海外転出届を提出せず、日本に住民票を残したまま、日本での金融機関での年金受け取りを継続することも可能です。しかし、この場合には、支払われる年金から住民税や国民健康保険料、介護保険料などの支払いが必要になります。

 

  • 年金受給にともなう税金の問題

海外で年金を受け取る場合、年金にかかる税金の問題を理解しておく必要があります。

海外で年金を受け取る際には、海外と日本での2重課税を防止するため、社会保険業務センター宛てに「租税条約に関する届出書」と「年金の支払いを受ける者に関する事項」を提出する必要があります。このことによって、日本での課税が免除されて、移住先の国で課税されることになり、2重課税を防止できます。

ただ、租税条約を結んでいない国で年金を受け取る場合には日本で課税されます。また、この手続きの対象の年金は国民年金と厚生年金だけであり、公務員共済年金や私学共済年金の場合にはやはり日本で課税されることになります。

なお、海外移住先として人気のフィリピンなどでは、送金された年金に対する課税が免除される制度があります。

  • 健康保険は脱退する

海外移住する場合、健康保険の問題も重要です。海外でも病気や怪我をする可能性はあり、健康保険が必要になることはあるからです。

海外移住する場合には海外転出届を提出しますが、このことによって国民健康保険からは当然に脱退することになってしまいます。

そうすると、日本の国民健康保険を利用することは出来ません。

もしどうしても日本の国民健康保険に加入した状態を維持したい場合には、海外転出届を出さずに住民票をそのままにしていくことになります。

日本の健康保険に加入した状態で、海外で病院を受診して治療費を支払った場合、健康保険から還付を受けることが出来ます。還付を受けるための手続きとしては、出国前に「診療内容明細書」と「領収明細書」を市町村窓口で受け取って海外に持っていきます。そして、帰国後に支給申請書と診療内容明細書、領収明細書とそれらの日本語の訳文を窓口に提出すれば還付が受けられます。ただこの制度は1年以内の短期渡航者しか対象になりません。また、還付される金額の基準は「日本国内」で同じような病気や怪我の治療を受けた場合と同じものになりますので、たとえ現地で高額な治療費がかかった場合でも、日本の標準額にすると支給額が低くなることがあります。

  • 現地で保険に加入するのが普通

日本で海外転出届を出して健康保険を脱退した場合には、海外で健康保険がないことになってしまいます。これでは生活に不安がありますので、現地で公的保険や私的保険に加入しておきましょう。公的保険には、就労ビザを持っているか永住権を持っている必要があるなどの条件がついていることもありますので、注意しましょう。

一般的な旅行会社が提供している海外保険を利用することも出来ますが、このような海外保険は海外渡航期間が1年以上になる長期滞在の場合には適用されないことが多いです。

海外移住の場合には利用出来ないこともありますので、事前にしっかりチェックしておきましょう。

今回は、海外移住する際に必須の知識となる年金受給の問題や健康保険の問題を特集しました。

是非とも参考にしてみてください。